こんにちは。ジロウです。
年の瀬が近づいたせいか、妙に昔のことを思い出します。
「あの頃、この時季は何してたっけなぁ~?」
なんて・・・。
で、ちょっと思い出したのが、2006年から2007年にかけて、東京のとある官公庁の分室で派遣スタッフとして働いていたときのことなんです。
業務内容はデータ入力で、マイクロソフトWordを使って文書の清書をするというものでした。
狭いオフィスに僕を含めたスタッフ4人で閉じ込められ、決められた書式に従って、誤字脱字の一切ない完璧な文書を完成させるという任務です。
勤務時間は朝の9時から夕方の5時までで、時給は1,000円程度だったと思います。
実働7時間なので、日収は7千円ほど・・・。
1ヶ月の収入は14万円足らずです。
自己紹介にも書きましたが、僕はもともと映画業界に勤めていたものの、ストレスから頭がヴォ~ン! となって退職。
食い扶持を得るための苦肉の策として登録した派遣会社から紹介されたのが、この業務だったんです。
当時住んでいた練馬のアパートの家賃が62,000円で、光熱費やら携帯電話代やらを差し引くと、手元に残るのはギリギリ食費だけでした。
でも仕事はすごく楽で、
「パソコン操作、できるようになっておいて良かったぁ~」
なんて思ったものです。
ただ、楽にも程があります。
仕事がまったくない、なんて日もちょくちょくあって、時間をつぶすのに苦労したものです。
そんなときは、同僚のオバちゃんや女の子とおしゃべりして過ごすんですが、連日ともなると話題もなくなってきて、結局てんでに読書したりして・・・。
そこで僕が思いついた時間つぶしの方法というのが、“Wordを使って絵を描く”というものでした。
描画モードにして、目に入る物をデッサンするんです。
最初は自分が持ち込んでいた湯のみ茶碗だったり、壁にかかった時計だったり。
徐々に上達してくると、それだけではもの足りなくなった僕は、辺りを見渡しました。
すると、僕の背後の窓から見える、東京タワーに目が止まりました。
「これに挑戦してみるか・・・!」
そして作業スタート。
隣に座っている女の子に、
「今度は何描いてるんですか?・・・え、マジっすか、イカれてる!」
そんなことを言われながら1週間以上かけてでき上がったのがこれであります。
Wordの1ページに描いたこれ、文字数に換算して36,000文字・・・。
本当はもっと描き込みたかったんですが、パソコンのスペックの問題か、ソフトの限界か、ここで動作が停止しちゃいました。
でもま、なかなかよく描けたんで、本当はいけないんだけど、プリンターを持ち込んで印刷しちゃったのがこれなんです。
同僚のみんなや、食堂のオバちゃんなんかに配ったんですけど、ちょっと喜んでもらって嬉しかったです。
で、今日話したかったのは、その食堂のマスターのことなんです。
この食堂、僕らが詰め込まれたオフィスのある階にあったんですが、僕らも職員待遇の割引で利用することができました。
食費もギリギリの生活をしていた僕にとって、ここでの昼食は何よりの楽しみ♪
400円前後で定食が食べられるし、メニューも日替わりで、どれもなかなか美味しかったんです。
毎日、昼休みになるやいなや駆け込んでくる僕の顔は、食堂のオバちゃんたちにすぐに覚えられました。
当時の僕は、散髪するお金も惜しんでいたんで、伸びた髪を後ろで結わえていたんですが、それがトレードマークになって、
「ちょんまげのお兄ちゃん」
とか呼ばれたりして(笑)。
セルフサービスだったのでお盆を持って並ぶんですが、そのうち、なんだかサービスも良くなってきて、
「ごはん、どれくらい?」
「もうギューギューに詰め込んで山盛りで!」
「はいよ(笑)」
なんてやり取りが日課になりました。
するとやがて、厨房のマスターが、
「はい、これ」
と言って、小鉢のおかずをサービスで追加してくれるようになったんです。
「いつもキレイに食べてくれるからね」
なんて言って。
そして派遣業務が大詰めを迎えたある日の午後、僕が休憩中に喫煙ルームに行くと、食堂のマスターが一服していました。
白の上下に長靴をはいて、ノッポな背中をこちらに向けて・・・。
「お疲れ様です」
と挨拶すると、振り向いて「おお」と笑顔を見せます。
そこで10分ほど世間話をしたんですが、最後にマスターが尋ねました。
「その髪はいつから伸ばしているの?」
と・・・。
僕は、失業するまでの経緯を簡単に話して聞かせました。
そして、再就職するべきなんだろうけど、決心がつかないことも。
するとマスターは、タバコをもみ消しながらひとこと、
「まずはその髪、また切るといいよ」
とだけ言って、「じゃあね」と去っていきました。
僕はぼんやり1人で考えました。
(そうだよなぁ~・・・)
倹約のためとか言い訳して伸ばしっぱなしの髪でしたが、それは言ってみれば僕の弱音の塊だったんです。
そんなものダラダラと伸ばし続けていては、いつまでたっても次の一歩は踏み出せません。
官公庁の派遣契約は1年間と定められていて、どんなに評価されても延長はできません。
いずれは次の仕事を探さなければならないんです。
その日の帰り、僕は最寄駅への道を隣の席の女の子と歩いていました。
すると彼女が言ったんです。
「そうそう、私、入社試験の一次、受かったんですよ♪」
彼女はしっかり前に向かって歩んでいたんです。
僕は「偉いなぁ~」なんて返しながら、自分もこのままではイカンと考えていました。
そしてようやく、再就職に向けて動き出そうと決心したんです。
いつまた頭がヴォ~ン! となるかと不安ではありましたが、そこにつまづいていては何も始まりません。
髪を切ったのは、その週末のことでした。
その後、入社試験を受けて合格したケーブルテレビ会社へ入った僕でしたが、その軍隊のような社風が肌に合わず、長続きしませんでした。
ところが、そこで同期として仲良くなったT君が、
「僕が以前勤めていた派遣会社に話してみようか」
と、とある人材派遣会社を紹介してくれたんです。
「仕方ないから、また派遣でつなぐかぁ~・・・」
くらいに思っていたのですが、なんと僕が案内されたのは派遣会社の内部で、派遣コーディネーターとして働くという場でした。
ちょうど欠員が出たので、新しいメンバーを探していたんだそうです。
ここでの仕事はやり甲斐がありました。
所属したグループ内に仲の良い同僚もたくさんできたし、本当に毎日有意義に過ごすことができました。
思えば、マスターの言葉で心が動き、隣の席の女の子の言葉で奮起し、ケーブルテレビ会社のT君の口利きで良い職場に巡り会えたわけです。
今でこそ、こうやって1人インターネットビジネスに取り組んでいる僕ですが、やはりその根っこには人間関係の大切さが染み付いています。
いい年こいてもまだまだ駆け出しですが、所属するコミュニティーでも、全国津々浦々から集まるメンバーとの交流はいつも楽しみです。
なので僕も、いつか自分のコミュニティーを作り上げて、このビジネスを通じて広く大勢の仲間と巡り合いたい! そんな思いが直近の目標になっているんですよね。
そんなわけで、もし僕を信頼してくれる人がいるなら、とことん応えていかねばと気持ちを引き締める毎日なのであります。
ではでは、つまらない思い出話にお付き合い下さり、誠にありがとうございました♪
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